ブロックチェーンは仮想通貨に使用されている技術として広く知られるようになりました。
ビットコインに用いられているのはパブリックチェーンと呼ばれ、ブロックチェーンの種類は他にもあります。
各種ブロックチェーンの特徴と長所短所を紹介します。
ブロックチェーンの種類は?
ブロックチェーンの種類は複数あります。
分類の仕方は様々ですが、ここでは
- パブリックチェーン
- コンソーシアムチェーン(パーミッションドチェーン)
- プライベートチェーン
の3種類に分類します。
これらのブロックチェーンの違いを一言で簡単に説明すると、取引記録の承認者が異なるということです。
パブリックチェーンは、中央集権的な管理者がいなくて、不特定多数によって取引が承認されます。
コンソーシアムチェーンは、不特定多数ではない複数の管理者が承認の権限を持ちます。
そしてプライベートチェーンは、単一の管理者が承認の権限を持ちます。
それぞれメリット、デメリットがありますので、紹介します。
まずはパブリックチェーンの特徴について触れます。
パブリックチェーンの特徴とメリット・デメリットは?
まずパブリックチェーンの特徴は、次の通りです。
パブリックチェーンの特徴
- 中央管理者がいない
- 取引の承認に参加するノードは不特定多数で、数に制限がない
- ブロックチェーンの中身を誰でも検証できる
パブリックチェーンを用いた仮想通貨として有名なのは、ビットコインです。
ビットコインは中央管理者がいなくても、取引の承認を正しく行えるのが大きな特徴。
ビットコインのブロックチェーンでは、P2Pネットワーク上の不特定多数のマイナー(採掘者)が取引の承認をします。
新たに発行されるビットコインや送金手数料を経済的なインセンティブとし、それらを得ることをメリットとするマイナーがブロックの承認に参加します。
マイナーによって生成されたブロックは、ネットワーク上の他のノードが同期したり、他のマイナーがブロックを繋げることで、正当なものであると次第に認証されていきます。
大きなハッシュパワーをブロックの承認に要する仕組みにすることで、中央管理者がいなくても、取引内容の改ざんを防げるようになっています。
このことからパブリックチェーンは、非中央集権的なブロックチェーンと呼ばれます。
またパブリックチェーンはその名の通り、ブロックチェーンに書かれている内容を誰でも検証することができるため、公共性が高いブロックチェーンと言えます。
パブリックチェーンのメリット
まず、パブリックチェーンのメリットは、中央集権的な管理者の不正を防げることです。
強い権限を保有する管理者がいると、管理者が悪意を持てば、取引記録を改ざんできてしまいます。
その点、パブリックチェーンは管理者不在であるため、検閲や改ざんを防げる仕組みになっています。
ブロックチェーンの内容を誰でも確認できることからも、その正確性が担保されています。
パブリックチェーンのデメリット
パブリックチェーンのデメリットは、ブロックの承認に時間がかかることです。
不特定多数のノードによって承認を行うためには、承認に時間とハッシュパワーを要します。
また、パブリックチェーンは管理者なしで運営されていくため、仕様の変更に時間がかかります。
ビットコインでは性能面での問題を解消するために、開発者やマイナーたちの間で議論が行われます。
多くの人々によって議論が進められるため、全員の意見が一致することはなかなかありません。
これは独裁的にプロトコルが変更される危険性を低下されるメリットはあるのですが、迅速な変更が求められるシステムではデメリットになります。
さらにブロックチェーンの中身を誰でも確認できるので、不特定多数に公開にすべきでないプライベートな情報を扱うのには適しません。
パブリックチェーンの中央集権的な管理者がいないという点は、メリットにもデメリットにもなり得るのです。
先にパブリックチェーンとプライベートチェーンを理解すると、コンソーシアムチェーンがわかりやすくなるはずです。
なので、次にプライベートチェーンの特徴について触れます。
プライベートチェーンの特徴とメリット・デメリットは?
プライベートチェーンの特徴は次の通りです。
プライベートチェーンの特徴
- 中央管理者が存在する
- ブロックの承認は単一の管理者によって行われる
- ブロックチェーンの公開範囲は管理者が任意に定める
プライベートブロックチェーンでは、取引の承認権限を単一の管理者だけが持ちます。
中央集権的に管理されるブロックチェーンと言えます。
ブロックチェーンの公開範囲を承認権限を持つ管理者だけに限定するのも、より広い範囲にするのも管理者の任意です。
プライベートチェーンは、そのブロックチェーンを活用するひとつの組織内だけで運用するのに適しています。
そのため、ブロックチェーンの公開範囲は、その組織内だけにとどめる場合が多いでしょう。
プライベートチェーンのメリット
プライベートチェーンは承認者が単一なので、迅速に取引記録の承認ができます。
不特定多数のノードによって監視されるビットコインのパブリックチェーンのように、マイニング報酬を付与する必要もありません。
ブロックチェーンへの参加者を制限することで、秘匿すべき情報を護ることができます。
狭い範囲で運用されるほど技術的なリスクが取りやすくなりなるので、よりよく運用していくために試験的な検証を行いやすいのもメリットです。
プライベートチェーンのデメリット
プライベートチェーンは管理者が単一であるため、管理者による検閲や改ざんがしやすく、透明性が低いブロックチェーンと言えます。
不特定多数のノードによって分散管理されるわけではないので、パブリックチェーンほど故障や破壊の耐性が高くありません。
ですが、従来のリレーショナル・データベースで運用されているシステムをパブリックチェーンに置き換えれば、故障やアクセスの過多などのに対する耐性は増します。
そのため、既存のシステムにブロックチェーンの利点を取り入れたい場合は、パブリックチェーンを活用することが期待されています。
最後にコンソーシアムチェーンについて触れます。
コンソーシアムチェーンの特徴とメリット・デメリットは?
コンソーシアムチェーンの特徴は次の通りです。
コンソーシアムチェーンの特徴
- 管理者が存在する
- ブロックの承認は複数の管理者によって行われる
コンソーシアムチェーンは不特定多数ではない複数の管理者が取引の承認の権限を持ちます。
中央集権に近いブロックチェーンです。
許可されたノード(コンピュータ)だけが取引承認の権限を持つという意味では「パーミッションドチェーン(Premissioned chain)」とも呼ばれます。
コンソーシアムチェーンのメリットとデメリット
コンソーシアムチェーンのメリットとデメリットは、プライベートチェーンに近いです。
プライベートチェーンは管理者が単一であるため、データの改ざんがしやすいですが、コンソーシアムチェーンは管理者が複数いるため、データの改ざんがしづらくなります。
パブリックチェーンは取引の承認に時間がかかる欠点がありますが、コンソーシアムチェーンは承認権限を持つ管理者が少ないため迅速に承認を行えますし、マイニング報酬も不要です。
ブロックチェーンの参加者を限定するので、ブロックチェーンの公開範囲を制限できるメリットがあります。
ですが、参加者を限定することで、多数のノードに分散管理できるというブロックチェーン技術のメリットが薄れてしまうデメリットも指摘されています。
それはまたメリットにもなり、管理者が少ないことで、ブロックチェーンの仕様変更に際してパブリックチェーンほど時間がかかりません。
プライベートチェーン、コンソーシアムチェーン、パブリックチェーンそれぞれにメリットとデメリットがあるので、向き不向きも異なります。
今後のどのように発展し、活用されていくのか期待されます。